• HOME
  • コラム
  • 株主総会議事録に押印は必要?会社法上のルールや登記申請時の注意点

株主総会議事録に押印は必要?会社法上のルールや登記申請時の注意点

公開日:

株主総会議事録、いざ作成しても「誰の押印をもらえばいいのか」で手が止まってしまう、そんな方は少なくないはずです。押印の要否は、会社法上のルールだけでなく、登記申請時に求められる要件や自社の定款規定によっても変わってくるため、判断に迷いやすいポイントでもあります。

本記事では、この押印ルールを整理してわかりやすく解説します。最後まで読めば、自社が今どのような対応をすべきか、迷わず判断できるようになります。

株主総会議事録における押印の基本ルール

株主総会議事録への押印を正しく行うには、まず会社法が押印についてどのように規定しているかを把握することが出発点となります。法律上の義務と自社のルールは必ずしも一致しないため、両方の観点から現状を確認することが実務上のトラブルを避けるための第一歩となります。

会社法上の押印義務は存在しない

過去の法律では、議長や出席した取締役に対して株主総会議事録への記名押印が義務付けられていました。しかし、現在の法律においてそのような記載は見当たりません。

会社法第318条第1項には、「株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。」と定められています。このように議事録の作成義務は明記されていますが、誰が押印すべきかについての条文は存在しないのです。そのため、法律上は押印がなくても議事録としての効力は認められることになります。

(議事録)
第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
4 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
5 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

引用:e-Gov法令検索「会社法」引用日2026/07/16

ただし、法的な義務がないからといって全く押印しなくてもよいと判断するのは早計と言えるでしょう。後日のトラブルを防ぐためにも、誰が作成して誰が内容を確認したのかを客観的に証明する手段として、関係者の押印を残すのが一般的な実務の形となっています。

自社の定款規定を確認する必要性

法律上の義務がなくても、多くの企業では自社の定款に押印に関するルールを定めています。

例えば、「株主総会の議事録には、議長および出席した取締役が記名押印する」といった記載が代表的です。定款は会社内部のルールとして強い効力を持つため、このような規定がある場合はそれに沿った対応が求められます。

もし定款の定めに反して押印を省略してしまうと、手続きの正当性を疑われる原因になりかねません。総務や法務の担当者は、議事録を作成する前に自社の定款へ目を通し、株主総会に関する項目をチェックすることから始めてみてください。

規定の根拠押印義務の有無実務上の対応方針
会社法規定なし(義務ではない)法律上は署名や記名のみでも有効となる
定款会社ごとの定めに従う定款に記載がある場合はそれに準じた押印が求められる

【関連記事】

登記申請で株主総会議事録への押印が求められるケース

会社法上は押印義務がなくても、法務局への登記申請では別のルールが適用されます。どのような決議内容が登記手続きと連動するのかを事前に把握しておくことで、役員への押印依頼を一度で完結させ、書類の差し戻しや再依頼といった無駄なやり取りを防ぐことができます。

取締役会非設置会社における代表取締役の選定

取締役会を設置していない会社において、株主総会の決議で代表取締役を選定した場合、その議事録は登記申請の添付書類となります。この際、商業登記規則の定めに従い、議長および出席した取締役が議事録に実印で押印し、それぞれの印鑑証明書を添付することが求められます。

(添付書面)
第六十一条 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

引用:e-Gov法令検索「商業登記規則」引用日2026/07/16

これは、代表権を持つ人物を決定する重要な手続きにおいて、決議の真正性を担保するための措置と言えるでしょう。なお、すでに会社の実印を法務局に届け出ている代表取締役が重任し、その実印を押印する場合は、他の取締役の印鑑証明書が免除される例外規定も存在しています。

法務局の提供する株主総会議事録のテンプレートは「株式会社変更登記申請書」の添付書面の一つとして以下サイトで紹介されています。

登記で必要となる印鑑の種類と印鑑証明書

登記申請に株主総会議事録を添付する際、どのような印鑑を使うべきかは手続きの内容によって異なります。

前述の通り、新たに代表取締役を選任するような重要な場面では、個人の実印と市区町村が発行する印鑑証明書のセットが必要です。一方で、単なる商号変更や事業目的の変更など、代表者の権限に直接関わらない決議の場合は、認印での押印が認められることも少なくありません。

手続きごとに要求される印鑑の種類を事前に法務局の案内等で確認しておくと、後から役員に押し直しを依頼する手間を省くことができます。

決議の内容(例)求められる印鑑の種類求められる印鑑の種類
代表取締役の選定(非設置会社)個人の実印原則として必要となる
商号や事業目的の変更認印でも可通常は不要とされる

参考:商業登記規則 | e-Gov 法令検索

株主総会議事録に押印すべき対象者

押印が必要だと判断できたら、次に明確にすべきは誰から押印をもらうかという点です。対象者を誤ると、後から不足分の押印を追加依頼する手間が発生します。法令・定款・実務慣行の三つの観点から対象者の範囲を正しく把握しておくことが、スムーズな議事録完成への近道となります。

議長および出席した取締役

議長は総会の進行を取り仕切る責任者であり、議事録の内容が当日の議論を正確に反映しているかを保証する立場にあります。また、出席した取締役も経営責任を負う立場として、決議内容に相違がないことを確認する役割を担っていると言えます。

そのため、株主総会終了後は速やかにこれらの役員へ議事録の確認を依頼し、署名または記名押印をもらう運用を構築しておくとスムーズに処理を進められるでしょう。

議事録の作成を担う者

議長や取締役だけでなく、議事録を実際に作成した担当者の記名押印を求める企業も存在します。

作成者を明確にすることは、記録の正確性に対する責任の所在を明らかにする意味で効果的です。会社法施行規則第72条第3項においても、議事録には作成に係る職務を行った取締役の氏名を記載することが定められており、作成者を明示する運用は法令上の要請にも沿うものです。

(議事録)
第七十二条 法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。第四号において同じ。)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結

引用:e-Gov法令検索「会社法施行規則」引用日2026/07/16

外部から議事録の開示請求があった際にも、作成者が明記されて適切に押印されている文書は、会社としての管理体制が整っているという信頼感につながるでしょう。

対象者押印の目的・役割備考
議長議事進行の責任者として内容を証明する多くの定款で押印が規定されている
出席取締役決議内容の正確性を確認し合意を示す欠席した取締役は対象外となる
議事録作成者文書作成の責任の所在を明らかにする会社法施行規則で氏名の記載が求められる

株主総会議事録の電子化と電子署名の活用

テレワークの普及や社内手続きのデジタル化が進む中、紙の議事録に代わって電子データでの作成・保管を選択する企業が増えています。ただし電子化にあたっては、法的に有効な方法で署名を行う必要があり、単なるスキャンデータや画像とは区別して扱うことが求められます。

電子署名法に基づく効力と要件

電子ファイルとして作成された議事録を有効なものとするためには、紙の押印に代わる措置として電子署名を付与する必要があります。会社法および商業登記規則においても、一定の要件を満たす電子署名が付されたデータであれば、書面の議事録と同等の効力を持つことが認められています。

ただし、どのような電子署名でもよいわけではなく、電子署名法に基づく要件を満たす電子証明書を伴う必要があるなど、一定の基準を満たすことが求められます。導入を検討する際は、自社が利用しようとしている電子契約サービスが法令の要件を満たしているかを慎重に確認することが求められます。

【関連記事】

押印前の「議事録作成」を効率化し、手続き全体をスムーズに進めるには

株主総会議事録への押印や登記申請の手続きを滞りなく進めるためには、そもそも「正確な議事録をいかに素早く作成するか」が実務上の大きな鍵を握ります。株主総会では専門的な法律用語や重要な経営判断が飛び交うため、議論の内容を一言一句正確に文字起こしする作業は、担当者にとって非常に負担の大きい業務です。

議事録の完成が遅れれば、議長や役員への内容確認と押印依頼のタイミングも後ろ倒しになり、登記申請など重要な手続きに支障をきたす恐れがあります。こうした事態を防ぐため、近年ではAI音声認識ツールを活用し、文字起こしから要約までの工程を自動化することで、作成から押印までのリードタイムを大幅に短縮する企業が増えています。

例えば、取締役会・経営会議が合わせて年間60回近く開催されるキリンホールディングス株式会社では、会議の逐語録作成にAI議事録ツール「ScribeAssist」を導入し、数日要していた文字起こし作業が大幅に削減されています。

セキュリティと手軽さで選ぶAI音声認識サービス

議事録作成ツールを選ぶ際、特に株主総会や取締役会のような機密性の高い会議においては、情報漏洩を防ぐための強固なセキュリティが重要な要件となります。

高精度なAI音声認識「AmiVoice」を搭載したScribeAssist(スクライブアシスト)は、オフライン環境(スタンドアローン型)で録音から文字起こし、AI自動要約までをローカルで完結できる点が特長です。音声データが外部のクラウドへ送信されないため、極秘情報を扱う場面でも安心して活用しやすい設計となっています。

スタンドアローン型のAI議事録作成ツール ScribeAssist

> ScribeAssist | オフラインで使えるAmiVoiceのAI議事録ソフト

一方で、「各部署で日常的に発生する会議の議事録も、手軽に一括して効率化したい」という場合には、クラウド型のProVoXT(プロボクスト)が適しています。利用人数の制限がないため部署単位から全社規模まで柔軟に展開できる手軽さが魅力です。会議の性質に合わせて最適なツールを使い分けることで、議事録作成にかかる時間を大幅に削減できるでしょう。

クラウド型で手軽に使える議事録作成ツール ProVoXT

>ProVoXT | AmiVoiceのクラウド型AI議事録サービス

議事録作成の効率化に役立つお役立ち資料

「議事録の作成に時間がかかりすぎて、本来の法務・総務業務に手が回らない」「役員から押印をもらうための手続きを少しでも前倒ししたい」とお悩みの実務担当者様に向けて、業務負担を劇的に減らすためのヒントをまとめた資料をご用意しています。

「ScribeAssist」や「ProVoXT」がどのように議事録作成の課題を解決し、押印・承認プロセス全体の効率化へ貢献するのか、具体的な機能や活用事例を詳しくご紹介しています。自社のスムーズな手続きを実現するための参考として、ぜひお役立てください。

> 議事録作成の課題を解決する「VoXT One」関連資料のダウンロードはこちら

まとめ

本記事の重要なポイントを簡潔に振り返ります。

  • 会社法上は押印義務がないものの自社の定款規定に従う必要がある
  • 代表取締役の選任など登記申請の添付書類となる場合は実印が求められる
  • 議長や出席取締役などが押印対象となるケースが一般的である
  • ペーパーレス化を進める場合は法令要件を満たす電子署名を活用できる

これらのルールを正しく理解し、自社の適切な議事録管理とスムーズな会社運営に役立てていきましょう。

株主総会関連記事のご紹介

VoXT Oneコラム 編集部
執筆者

VoXT Oneコラム 編集部

株式会社アドバンスト・メディア

AI音声認識「AmiVoice」を提供する株式会社アドバンスト・メディアの25年以上にわたる知見をもとに、音声認識や生成AIを活用した議事録業務の効率化に関する情報の執筆・監修を行う。企業や自治体のDX推進に向け、会議運営の改善や情報共有のスピード・精度向上につながるAI議事録の活用ノウハウを発信している。