株主総会議事録の書き方 会社法の必須記載事項とひな形活用

株主総会が終わったら、次に待っているのはスピーディーな議事録作成。そう分かっていても、「会社法上、何を書けば法的に問題ないのか」「どう保管すればいいのか」が分からず、手が止まっていませんか?
本記事では、そんなお悩みを解消すべく、会社法に基づく必須記載事項と適切な保管ルールの基礎知識をわかりやすく解説します。最後まで読めば、ひな形を活用しながら、法的な不備のない議事録をスムーズに作成できるようになります。。
目次
株主総会議事録の作成義務と目的
株主総会議事録は、企業が法律に基づいて作成・保管することを義務付けられた重要な法定書類です。単なる会議の記録にとどまらず、会社の最高意思決定機関での決議内容を証明する公式文書として機能します。その重要性を正しく理解しておくことは、担当者として適切な実務対応をとるうえでの第一歩となります。
ここでは、作成を求める法的根拠と、適切に対応しなかった場合に企業が直面するリスクについて解説します。
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会社法に基づく作成の法的義務
株主総会を開催した後は、必ず議事録を作成することが会社法第318条第1項によって定められています。
(議事録)
引用:e-Gov法令検索「会社法」引用日2026/07/14
第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
株主総会は会社の最高意思決定機関であり、そこで話し合われた内容や決議された事項は、企業運営において非常に重い意味を持ちます。そのため、口頭での確認にとどめず、書面や電磁的記録として正確に保存することが求められています。
会社法に基づいた正しい形式で残すことが必要です。作成を怠ると法律違反となるため、総務や法務の担当者は速やかに対応を進めることが推奨されます。
作成を怠った場合に生じるリスク
万が一議事録を作成しなかった場合、会社法上の義務違反として過料という金銭的なペナルティが科される可能性があります。
| 項目 | 具体的な内容やリスク |
|---|---|
| 法律上の義務 | 会社法第318条に基づく作成および保管の義務 |
| 未作成のペナルティ | 過料(罰金に似た金銭的制裁)が科される可能性 |
| 実務上の影響 | 役員変更や本店移転などの登記手続きが進められない懸念 |
| 信用上の問題 | 株主や債権者に対して決議の正当性を証明できなくなる恐れ |
また、株主や債権者から決議内容の有効性を疑われた際に、それを証明する客観的な証拠を提示できません。役員の変更登記などを行う場面でも、法務局へ提出する添付書類として議事録が求められることが一般的です。
結果として、後々の企業活動や法的手続きに支障をきたす恐れがあります。企業としての信用を守るためにも、迅速かつ正確な記録を残す体制を整えることが大切と言えます。
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株主総会議事録に活用できるひな形の使い方
法律で定められた記載事項を漏れなく満たす議事録を、ゼロから作成するのは担当者にとって大きな負担です。そこで有効なのが、必要な項目があらかじめ整理されたひな形(テンプレート)の活用です。ひな形を正しく取り入れることで、作成にかかる時間と記載ミスのリスクを同時に減らすことができます。
ここでは、ひな形導入によって得られる効率化の効果と、自社の状況に合ったテンプレートの選び方を紹介します。
ひな形を導入して得られる業務効率化
法的な要件を満たしたひな形を利用することで、担当者の負担を大きく減らすことができます。必要な項目がすでに網羅されているため、法律で求められる記載事項の書き漏らしを防ぐ効果が期待できます。
インターネット上には無料のテンプレートが多数公開されており、自社の状況に合ったものを選ぶことで、議事録作成の時間を大幅に短縮できます。空欄を埋めるだけで完成に近い状態まで持っていけるのは、大きな利点と言えるでしょう。
会社の規模に合わせたひな形の選び方
ひな形を選ぶ際は、自社の機関設計や株主総会の規模に適合しているかを確認することが重要です。
取締役会を設置している会社とそうでない会社では、決議できる事項や記載すべき内容が異なります。また、役員が実際に集まる通常の総会か、書類のやり取りだけで済ませる書面決議(みなし決議)かによっても、使用すべきフォーマットは変わります。
自社の現状に照らし合わせて、過不足なく記載できるひな形を選ぶことで、後の修正作業を減らすことにつながります。
| ひな形利用の視点 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 機関設計の適合性 | 取締役会設置会社か 非設置会社かの区分に合っているか |
| 開催形式の違い | 通常開催の総会向けか 書面決議(みなし決議)向けか |
| 編集のしやすさ | Wordなどの使い慣れたソフトで容易に加筆修正できるか |
| 記載項目の網羅性 | 会社法施行規則で定められた項目がすべて含まれているか |
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会社法施行規則で定められた必須記載事項
会社法施行規則第72条は、株主総会議事録に記載しなければならない事項を具体的に定めています。これらの項目を正確に盛り込むことが、文書としての法的有効性を担保するうえで不可欠です。記載が不十分な議事録は、後から内容の証明を求められた際に効力を発揮できないおそれがあります。
(議事録)
引用:e-Gov法令検索「会社法施行規則」引用日2026/07/14
第七十二条 法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。第四号において同じ。)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
三 次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
四 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
五 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
六 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
ここでは、実務で特に確認が求められる記載項目を取り上げ、それぞれの正しい書き方と注意点を解説します。
開催日時と場所の正確な記録方法
議事録には、株主総会が開催された具体的な日時と場所を正確に記録することが求められます。開始時刻と終了時刻を明記することで、会議が正当な時間内に行われたことを客観的に証明できます。
また、オンラインでの開催や、一部の役員がリモートで参加した場合には、その旨もあわせて記載することが望ましいとされています。場所についても、本社の会議室なのか外部の会場なのかを明確に記しておくことが大切です。
議事の経過の要領と結果のまとめ方
会議の進行状況や、どのような議論を経て決議に至ったのかを記載します。
すべての発言を一言一句記録する必要はありませんが、議案に対する賛成や反対の比率、重要な質問と回答の要旨は残しておくべきです。これにより、後から読み返した際にも、どのようなプロセスで会社の意思決定が行われたのかを的確に把握できます。結果として、株主に対する説明責任を果たすことにもつながるでしょう。
出席役員と作成担当者の氏名記載
株主総会に出席した取締役や監査役などの役員名と、議事録の作成を行った担当者の氏名を明記します。議長を務めた人物がいる場合は、その方の氏名もあわせて記載することがルールとして定められています。
誰が会議に出席し、誰が責任を持って記録を作成したのかを明確にすることで、文書としての証拠能力と信頼性が高まります。役職名と氏名をセットにして、正確に記述するように心がけてください。
| 必須記載事項 | 記載の目的と具体例 |
|---|---|
| 開催日時・場所 | 会議の正当性を証明する(例:令和〇年〇月〇日 10時〜11時 本社会議室) |
| 議事の経過と結果 | 議論の過程と結論を残す(例:議案は原案どおり承認可決された) |
| 出席役員の氏名 | 誰が参加したかを明らかにする(例:代表取締役 山田太郎、監査役 鈴木一郎) |
| 議長と作成者の氏名 | 会議の進行役と文書の責任者を特定する(例:議長 山田太郎、作成者 佐藤花子) |
議事録を作成および保管する際の注意点
議事録は作成して終わりではなく、その後の取り扱いにも法律上のルールが定められています。署名・押印の要否や、保管すべき場所と期間を誤ると、登記手続きや株主対応の場面で支障が生じる可能性があります。担当者が見落としがちな実務上のポイントを事前に把握しておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、議事録の署名・押印に関するルールと、法定の保管期間・保管場所について詳しく説明します。
取締役や議長による署名と記名押印のルール
会社法上、株主総会議事録への署名や記名押印は明示的に義務付けられていません。しかしながら、定款で「議長および出席した取締役が署名または記名押印する」と定めている企業は存在します。
定款の定めに従い、該当する役員から印鑑をもらうことで、文書の改ざんを防ぎ、正当な手続きを経たことを証明する役割を果たします。代表取締役を選定する決議など、手続きによっては実印と印鑑証明書が必要になるケースもあるため注意が必要です。
本店および支店での適切な保管期間
作成した議事録は、法律で定められた期間にわたって厳重に保管する必要があります。会社法第318条の規定により、原本は本店に10年間、その写しは支店に5年間保管することが定められています。
株主や債権者から閲覧の請求があった場合には、営業時間内であればこれに応じる義務があります。紛失や情報の流出を防ぐため、鍵のかかるキャビネットなどで安全に管理する体制を構築しておくことが推奨されます。
| 保管に関するルール | 詳細な内容 |
|---|---|
| 本店での保管期間 | 議事録の原本を、総会の日から10年間保管する義務がある |
| 支店での保管期間 | 議事録の写し(コピー)を、総会の日から5年間保管する義務がある |
| 閲覧の請求 | 株主や債権者から求められた場合、営業時間内であれば応じる必要がある |
| 押印の必要性 | 会社法上の義務はないが、定款の定めや登記手続きに応じて実印等が必要になる |
株主総会議事録の電子化と管理方法
近年、法改正への対応やテレワークの普及を背景に、株主総会議事録を電子データとして作成・管理する企業が増えています。紙の書類による管理と比べて、保管スペースの削減や情報共有の効率化といったメリットがある一方、法的に有効な方法で電子化を進めるには一定の知識が必要です。適切な手順を踏まずに移行すると、書類の証拠能力が損なわれるリスクもあります。
ここでは、電子化のメリットと、電子署名を活用した適切な管理方法について説明します。
書面から電子化へ移行するメリット
議事録を紙ではなく電磁的記録(PDFなどの電子データ)として作成し、保管する企業が増えています。電子化することで、物理的な保管スペースを削減できるだけでなく、過去の議事録を検索する際の手間も大幅に省けます。
また、テレワークを実施している環境でも、クラウド上で関係者が容易に内容を確認できるため、情報共有のスピードが格段に上がります。ペーパーレス化を推進する上でも有効な手段と言えます。
電子署名を用いた法的に有効な管理方法
電子データとして保管する場合、紙の書類における押印の代わりに電子署名を付与します。電子署名サービスを利用することで、いつ、誰がその文書を承認したのかを客観的に証明できます。これにより、データの改ざんリスクを抑えつつ、書面と同等の法的な効力を維持することが可能です。
導入にあたっては、会社法などの関連法令に対応した信頼できるクラウドシステムを選定し、社内の運用ルールを明確にしておくことが大切です。
| 比較項目 | 紙の議事録(書面) | 電子化された議事録(電磁的記録) |
|---|---|---|
| 保管場所 | キャビネットなどの物理的なスペース | サーバーやクラウド上のフォルダ |
| 承認方法 | 手書きの署名や実印・認印の押印 | クラウドシステム等を通じた電子署名の付与 |
| 検索性 | ファイルを直接めくって探す手間がある | キーワード検索ですぐに目的のデータを見つけられる |
| コスト | 印刷代や用紙代、郵送費が発生する | システム利用料がかかるが、物理的な経費は削減できる |
株主総会議事録の作成をさらに効率化するAI音声認識の活用
株主総会議事録は、ひな形を使うことで会社法に基づいた体裁を整えやすくなります。しかし、総会中の膨大な発言から要点をまとめ、議論の経過を正確な文章にする作業そのものには、依然として多くの手間と時間がかかります。
そこでおすすめなのが、AI音声認識ツールを活用した議事録作成の自動化です。
ひな形と音声認識AIの組み合わせで業務負担を軽減
会議中の発言は、AIがリアルタイムでテキスト化できます。録音データからの自動文字起こしも可能なため、担当者が手作業で記録する負担を大きく減らせます。
さらに、最新のAI要約機能を搭載したツールを使えば、文字起こしされた膨大なテキストから自動で議事の経過や要領がまとめられます。AIが作成した要約文を自社のひな形に落とし込むことで、正確かつスピーディーな議事録作成が期待できます。
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株主総会では、未公開の財務情報や経営戦略など、外部に漏れてはならない重要な機密情報が飛び交います。そのため、ツールを導入する際はセキュリティ対策が重要な要件となります。
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導入にあたっては、誤認識により誤った内容が表示されてしまった場合に問題となるのではないかという懸念の声も社内から上がったとのことですが、音声認識の精度を高めるために専門用語を事前に登録するなど、誤認識を減らすための工夫も重ねられました。結果、字幕表示は好評をもって迎えられました。
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まとめ
この記事で解説した株主総会議事録に関する要点をまとめます。
- 株主総会議事録は会社法によって作成と保管が義務付けられており、違反すると過料が科されるリスクがあります
- 必要な項目が網羅されたひな形(テンプレート)を活用することで、作成の手間と記載ミスを減らすことができます
- 開催日時や場所、議事の経過と結果、出席役員の氏名などの必須記載事項を正確に盛り込むことが重要です
- 議事録は本店で10年間、支店で5年間の保管が法律で定められており、電子データでの管理も認められています
株主総会議事録の正しい知識を身につけ、円滑で安全な企業運営に役立てていきましょう。
