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「素起こし」「ケバ取り」「整文」の違いを理解しよう!

2016年04月21日

「素起こし」「ケバ取り」「整文」の違いを理解しよう!

「テープ起こしは、聞こえた音声をすべて文字に書き起こすもの」と思っている方が多いかもしれません。しかし、テープ起こし原稿の仕上げ方には幾つかの種類が存在し、お客さまの要望に合わせた書き起こしを行う必要があります。多くの場合は、「素起こし」「ケバ取り」「整文」といった3種類に分類されます。今回は、3種類の書き起こしの体裁についてそれぞれの違いについて詳しく説明します。

なぜ複数の書き起こし体裁を設けているののか?

私たちが普段話をする時に、文字にした場合に美しい文章になることを意識して話すことは、ほとんどありません。言葉の間に「あのー」や「えー」など特に意味を持たない発声が入ることもありますし、単語を言い間違えてしまうこともあります。また、文章構成の観点から考えて、単語の順番が不自然になってしまうこともあるでしょう。それでもある程度は話の内容が理解できてしまうため、耳で聞いているだけならば、これらの点は特に気になりません。しかし、それを文字として書き起こすと、余分な部分や間違えている部分が思いのほか多いことに気付き、とても驚くでしょう。

テープ起こしの仕上げ方に種類が設けられているのは、このように話し言葉と書き言葉にギャップが存在するからです。本や雑誌、ホームページ上に掲載されているインタビュー記事や対談記事などを読むと、言葉や文章は読みやすく整っている場合がほとんどです。しかし、話者が全てその通りの言葉を発したわけではなく、読みやすいように修正が加えられているのです。ただ、カウンセリングや裁判証拠など、文章の読みやすさや美しさよりも正確性が重視されるケースもあり、その場合は聞こえた音をそのまま書き起こします。
基本的には、テープ起こしは「素起こし」「ケバ取り」「整文」の3タイプに分類されます。

「素起こし」は一字一句書き起こす

「素起こし」とは、録音した内容を聞き、聞こえた音をそのまま一字一句正確に書き起こす方法です。「あのー」、「えー」など特に意味を持たない言葉を発している場合や言い間違った場合、単語が重複している場合も、全て文字に起こします。文章として読んだ場合に読みやすいとは言いにくいのですが、話が行われている場がどんな雰囲気だったのかは伝わりやすいでしょう。

基本的に「素起こし」は、正確な記録や高い証拠性が必要な場合に要求されるケースが多いです。具体的には、カウンセリング、研究、裁判証拠、会話分析などが挙げられます。

「ケバ取り」を行えば、文章がスッキリ!

「ケバ」とは文脈上意味を持たない「あのー」「えー」「ああ」「~ね」「~よ」などの言葉を指す用語であり、「フィラー」と呼ばれる場合もあります。私たちは話をする際に、ケバにあたる言葉を意外と多く口にしています。無意識のうちに発してしまう口癖であったり、相手の言った事に対する相づちであったりするケースが多いです。

しゃべっている時はあまり気になりませんが、文字に起こしてみるとケバのせいで文章が読みにくいと感じるでしょう。ケバをきれいに取り除くだけで文章がスッキリし、非常に読みやすくなるのです。「ケバ取り」は、インタビュー、座談会、シンポジウム、会議などの音声データを起こす際に、よく用いられる方法です。

「整文」で話の内容をつかみやすく!

「整文」とは、話し言葉を書き言葉に直し、文体をですます調に整える方法です。
助詞の補充や、ら抜き言葉の訂正などを行うので、非常に美しく読みやすい文章に仕上がります。また、話者が明らかに間違った情報を話している場合も、訂正を行います。もちろん、「あのー」「~ね」などのケバも削除します。下記にいくつか例を挙げてみましょう。

・「いろんな」⇒「いろいろな」
・「~けど」⇒「~けれども」
・「起きれる」⇒「起きられる」
・「私、駅に行きます」⇒「私は駅に行きます」

「整文」は、ウェブ公開や会報等の印刷物、閲覧資料など、読みやすさを重視する場合に用いられることが多い方法です

サンプル例文

◎素起こし
「えー、まあ、1年が過ぎるのなんてね、あっという間なんですよ。本当にね。お正月が来たと思ったら、もう桜の季節ですよ。そして、ゴールデンウイークだの梅雨だの過ぎたら、もう半年終わるでしょう?」

◎ケバ取り
「1年が過ぎるのなんて、あっという間なんです。本当に。お正月が来たと思ったら、もう桜の季節です。そして、ゴールデンウイークだの梅雨だの過ぎたら、もう半年終わるでしょう?」

◎整文
「1年が過ぎるのは、本当にあっという間です。お正月が来たと思ったら、もう桜の季節です。そして、ゴールデンウイークや梅雨が過ぎたら、もう半年が終わるでしょう?」

終わりに

テープ起こしは、話者が発する言葉を正確に文字に起こす能力はもちろんのこと、文章力も必要な仕事です。クライアントの希望に沿う原稿に仕上げられるように、「素起こし」「ケバ取り」「整文」の違いをしっかりと理解して、実務で書き分けられるようにしましょう。

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