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テープ起こしの仕事は意外と時間がかかる?
テープ起こしは、耳で聞いた音声を文字に起こす仕事です。未経験の方からすれば、単純な作業というイメージがあるかもしれません。しかし、実際に自分でテープ起こしを行ってみると、想像していた以上に時間がかかることに驚く方がほとんどです。
話者の話すスピードやテープリライターのスキルにもよりますが、比較的ゆっくりしゃべっている場合でも、流れている音声と同じスピードでずっとタイピングをし続けるのは不可能に近いでしょう。途中で何度も音を止めながら進めていくため、音声の録音時間よりもはるかに時間がかかってしまうことがほとんどなのです。
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テープ起こしがスムーズに進まない理由
途中で音を止めなければならない理由はいくつかあります。まずは、単純にタイピングスピードが音声スピードに追いつかない場合です。タイピング自体が不慣れなため速いスピードで文字を打てないという場合もあれば、話者が通常よりも早口なため、それに合わせて文字を打ち続けるのが困難だという場合もあるでしょう。
次に、録音音声の音質があまり良くないというケースもあります。話し声がとても小さかったり、雑音が大きすぎて聞き取るべき音声がかき消されていたりするような状態では、スムーズなテープ起こしは難しいでしょう。さらに、話すスピードが特に速いわけでもなく、録音音声の音質もクリアだという場合でも、時間がかかることがあります。それは、話している内容が非常に専門的で普段聞きなれない言葉が多用されているケースです。
テープ起こしに限らず普通の会話においても、初めて聞く言葉が耳に入ってきた場合、音は聞き取れても何を指す言葉なのかが分からないため、聞き直して意味を理解しようとするでしょう。そのため、専門用語の多い録音データの場合は、途中で音を止める回数が増えるのです。
60分の録音データでどれぐらいかかるのか?
さまざまな理由により、テープ起こし作業は非常に手間がかかります。実際どのぐらいの時間を要するのかというと、一般的には60分の録音データを文字に起こすのに3~6時間かかると言われています。つまり、10分の録音データを起こすのに、多く見積もって1時間かかるという計算です。
なお、テープ起こしに慣れていない初心者が作業を行う場合は、もっと時間がかかる可能性があります。初めて文字を起こす場合、自分の感覚では10分程度起こしたつもりでも、実際は2~3分程度のデータしか書き起こしていないことに気づいて驚くこともあります。初心者は、途中で音を止めて何度も聞き直すといった手間がベテランのテープライターより頻繁に発生するため、完了するまでに相当長い時間を要するのです。
業者に頼んだ場合の納期は?
テープ起こし業者のホームページを見ると、どのぐらい長さの音声データを何日ぐらいで仕上げられるのかということを確認できます。会社によって多少の差はありますが、大体60
分の音声データを中2~3日で仕上げるというのが通常のコースとなっています。テープ起こしの仕事についてあまり詳しくないお客さんの中には「思ったより時間がかかるな」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、音声を文字に変換する作業は非常に手間がかかることや、テープリライターが文字起こしをした後で、その内容を校正者がチェックする時間も必要なことなどを考えると、やはり中2~3日は必要でしょう。ただ、特急コースを設けていて、60分の音声データで中1日、あるいは翌日の納品が可能となっている会社もあります。
≪おわりに≫
テープリライターの仕事を始めたばかりの頃は、なかなか思い通りに作業が進まず時間ばかりかかるため、途中でくじけそうになることがあるかもしれません。しかし、仕事に慣れてくるにつれて自分なりにコツをつかみ、作業時間を大幅に短縮できる方がたくさんいます。何度も作業を行ううちに音の聞き取りが上達しますし、タイピングスキルも自然と向上していくからです。
録音状態が良好とは言えない音声データでも敬遠せず、積極的にさまざまなタイプの案件をこなして、テープリライターとしての腕を磨いていきましょう。